書籍目録

『1597年2月5日に長崎において磔刑に処せられ、1627年9月14日と15日にローマにおいて列福され、1862年6月の聖霊降臨祭である8日、日曜日に列聖された日本の26人の殉教者達の絵入物語』

著者不明 / (日本二十六聖人殉教事件)

『1597年2月5日に長崎において磔刑に処せられ、1627年9月14日と15日にローマにおいて列福され、1862年6月の聖霊降臨祭である8日、日曜日に列聖された日本の26人の殉教者達の絵入物語』

ほか2作品合冊 [1862年] [パリ刊]

Anon.

HISTOIRE POPULAIRE ILLUSTRÉE DES VINGT-SIX MARTYRS DU JAPON: CRUCIFIÉS A NANGASAKI LE 5 FÉVRIER 1597, BÉATIFIÉS A ROME LES 14 ET 15 SEPTEMBRE 1627, CANONISÉS LE JOUR DE LA PENTECOTE 1862.

[Paris], (Impr.) Dépée / [libr. Dutil], [1867]. <AB202595>

Reserved

Bound with other 2 works.

20.0 cm x 26.5 cm, pp.[1], 2-31. [bound with other works(several maps on central Europe & LE TRIBOULET 1878-1880], Contemporary or slightly later half cloth on marble boards.
冒頭数葉の下部余白に破れが見られるが、テキストの大きな損傷はなく判読には大きな支障がないと思われる状態。後半にはフランス、ドイツ他中央ヨーロッパ諸国、都市の地図、ならびに雑誌『Le Triboulet』(1887-1880)が合冊されている。[BNF: FRBNF33419637]

Information

当時の一般読者向けに、豊富な挿絵を交えて日本二十六聖人殉教事件と列聖について紹介した現存部数が極めて少ない希少作品

 本書は、1597年に長崎で起きたいわゆる日本二十六聖人殉教事件の犠牲者達が1862年に列聖されたことを受けて出版された数多くの出版物の一つで、とりわけ一般の信徒に向けて多数の図版を交えて彼らのことを伝えた点に特徴のある作品です。作品としては30ページほどしかない小品ではありますが、類書に比べてわかりやすく事件の背景と殉教の様子、その後の顕彰の歴史などがコンパクトにまとめられており、また当時の状況を(想像で)描いた図版を多数収録することで、視覚的にもインパクトのある作品となっています。ここに描かれている日本の姿は、本書刊行当時の西洋において東アジアのイメージを代表する存在であった清朝の中国をベースにしたもので、明らかに当時の様子を写実的に描いたものではありませんが、当時の事件の受容や情報の伝達、ひいては日本観の形成といった観点からは非常に興味深い作品となっています。

 小作品であるがにゆえにこれまでほとんど知られることがなかった著作のようで、日本国内はおろか海外研究機関における所蔵も少なく、本書は希少な現存本と言えるものです。なお、本書は、それ以外の2作品群が同じ書物に合冊されており、本書に続いては中欧を主とした折り込みの地図が複数綴じ込まれており、さらには風刺画雑誌『LE TRIBOULET』の1878年から1880年にかけての号が合冊されています。