書籍目録

『お駒:日本の絵入り小説』

レガメ / [滝沢馬琴] / [北嵩重宣]

『お駒:日本の絵入り小説』

特装版 1883年 パリ刊

Régamey, Félix.

OKOMA: ROMAN JAPONAIS ILLUSTRÉ.

Paris, E. Plon et Cie, 1883. <AB202567>

Sold

24.5 cm x 31.3 cm, pp.[1, 2(Illustrated Title.)-4(Title.)], 5-83, 1 leaf(colophon), 1 leaf(blank), original illustrated silk binding.
絹装丁の一部に傷みや剥がれが見られるが、良好な状態。イギリスの陶器会社Wade Pottery の創立者 George Wade(1891-1978)旧蔵本で見返しに蔵書票あり。

Information

イギリスの陶芸家にも愛された親日家レガメー渾身の力作

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「1900年にパリ日仏協会が創立した。ギメが副会長、レガメーが事務局長に就任したが、そのずっと以前から、レガメーはペンと絵筆で日本紹介に尽くしていた。彼がギメの書いた『日本散策』に「風俗をその場でとらえた」挿絵を描いたが、その独創性や活き活きとした味わいは、写真などをもとにして制作された当時の挿絵にはあまり見られないものであった。1878年のパリ万国博出品のために、彼は極東旅行中に見た宗教行事などをテーマとした油絵を1年がかりで40点制作する。また『ル・モンド・イリュストレ』誌に連載した(1879年8月〜1883年3月)『お駒』を1冊の美しい本にまとめ出版した。江戸の人気作家滝沢馬琴(1767〜1848)の小説の『美濃古衣八丈綺談』(文化11年)を翻案したものである。原本の挿絵は北嵩重宣によるほとんど色彩のないものだが、この本では豊かに彩色されている。本の組み方も凝ったもので、日本の風物からとったモチーフの装飾も美しい。欄外には日本の風習の説明文もあり、すみずみに著者の最新のちゅういがうかがわれる。レガメーはその論文「芸術家の見た日本」(ルヴュ・ブルー』誌)で、日本人の陽気なこと、礼儀正しいこと、ストイックな道徳、風俗の詩情豊かなこと、芸術的感受性の豊かさについてほめたたえている。こうしたほとんどユートピアを描くかのような日本への誇張した賛辞は、当時の多くのフランスの芸術家たちに共通する、日本に対する陶酔を反映している。」
(尾本圭子 / フランシス・マクワン『日本の開国:エミールギメ あるフランス人の見た明治』創元社、1996年、97、98ページより)