Category ツーリズム・ガイドブック関連資料

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国際観光局 / 鉄道省

「1941(年カレンダー）」

[1940年] 東京刊

Board of Tourist Industry / Japanese Government Railways.

1941(Calendar for 1941).

Tokyo, Kyodo Printing Co. Ltd, [1940]. <AB2024209>

Sold

19.7 cm x 26.5 cm, 1(cover) and 13(March leaf duplicated) colored leaves, bound on Board.

Information

外客誘致のための広告宣伝活動の一環として国際観光局によって作成された豪華カレンダー

　この大変珍しいカレンダーは、国際観光局が外客誘致政策の一環として頒布していた多くの印刷物の一つで、1940年12月に頒布されたであろうと思われる1941年用カレンダーです。1930年代後半から同局によって毎年製作されていたと思われるカレンダーで、それまでの年には海外向けクリスマスギフトとなることを意識したと思われるクリスマスと新年を祝う文言はなく、シンプルに「1941」という年だけが記載されています。毎月のデザインは絵師も画風も様々ですが、いずれも各月の日本を象徴するような一場面が描かれています。国際観光局によってこうした非常に手のこんだカレンダーが、どくらいの期間、あるいはどのくらいの部数が製作、頒布されたのかについて、詳しいことはわかっていませんが、同局による数ある出版物の中でも異色の作品として大変珍しく、また貴重な現存品であると思われます。

「1930年、国際観光局が設置される。外国人旅客誘致を通じた経済振興を目的に新設された、鉄道省の外局である。この機関から海外向けの定期刊行物として1934年に小冊子『ツーリスト・ライブラリー』が、翌年にはグラフ雑誌『トラベル・イン・ジャパン』も創刊され、外客の誘致が外貨獲得のために官民を挙げて推進される。また、1933年の国際連盟脱退によって低落した日本のイメージの回復を図るべく、その翌年には外務省の外郭団体として国際文化振興会（国際交流基金の前身）が発足する。国際的国立が深まる中、日本文化を海外へと発信する諸機関がこの時期に相次いで立ち上がる。
　（中略）万国博覧会（1937年のパリ万博のこと：引用者注）出品の写真壁画としては日本初・日本最大となった《日本観光》の制作は、国際報道写真協会が請け負った。中央工房内に1934年に組織されたこの機関は木村伊兵衛や渡辺義雄、伊奈信男、原弘といった面々が名を連ねる写真エージェンシーとして、主に海外向けの写真を配信しており、国際観光局はこうしたフリーランスの集団に前述のようなグラフ雑誌の撮影をはじめとした事業・業務を発注していた。」
（小原真史ほか『富士幻影：近代日本と富士の病』IZU PHOTO MUSEUM、2011年、29ページより）

表紙も含め全ページが現存している貴重なもの。

裏面。厚紙に上部が綴じられており、裏面には折りたたみの脚があるので、壁掛けでも立てかけでも使える。