書籍目録

『クレインとエヴァンズによる絵本作品全37点コレクション』

ウォルター・クレイン / エドマンド・エヴァンズ

『クレインとエヴァンズによる絵本作品全37点コレクション』

全3巻合冊(揃い) [1865年-1876年] ロンドン刊

Crane, Walter / Evans, Edmund.

Complete collection of 37 Crane & Evans's toy book works

London, George Routledge and Sons, 1865-1876. <AB2024206>

Sold

37 works bound in 3 vols, 収録明細は下記解説末尾参照。, Slightly later cloth bound.
一部の作品の裏表紙に欠損、ページの外れが見られるが、概ね非常に良好な状態。

Information

日本の浮世絵版画に大きな影響を受け、ヴィクトリア期の絵本出版を刷新したエヴァンズとクレインの共作絵本全37点

 この類稀なるコレクションは、日本の浮世絵版画に大きな刺激を受けて、ヴィクトリア朝のイギリスにて革新的な絵本出版を手がけた絵師ウォルター・クレイン(Walter Crane, 1845 – 1915)と、彫版師にしてプロデューサーのエドマンド・エヴァンズ(Edmund Evans, 1826 – 1905)の2人のコンビによってラウトレッジ社から刊行された絵本作品全37点が3冊にまとめられたものです。絵本という、安価で大量生産が容易であることが求められる分野にありながら、独自の技法による多色刷りや画期的な誌面構成を展開したこれらの作品群は、イギリスにおける絵本文化史におけるメルクマールとなった作品群であると同時に、日本の浮世絵とヴィクトリア朝の絵本文化とが深く結びついていたことを証する文化交流の結晶でもあります。

 他国に先駆けていち早く産業革命を成し遂げたイギリスは、あらゆる分野での機械化、大量生産化を推し進め、より多くの人々がより安価で多くの商品を購入することを可能にしました。その一方で、利益のみを重視した大量生産による粗悪品も数多く流通し、こうした傾向に対して危機感を覚える人たちも少なくありませんでした。そうした人々の中には、唯美主義と呼ばれる、道徳性を過度に重視するヴィクトリア時代の風潮や大量生産に対して批判的な態度をとり、ただ純粋に美的なものを求める運動に身を投じる人や、アーツ・アンド・クラフツ運動に見られるように「良き趣味」を追求するような人など、多彩な形での運動が展開されました。しかしながら、今日ではよく知られているこうした運動はどちらかというと一部の限られた人々によるエリート志向が強いもので、絵本という、ある意味で最も大衆的とみなされるメディアにおいて、独創的な運動が展開されていたことは、日本だけではなくイギリスでもこれまであまり注目されてきませんでした。

 こうした中、ヴィクトリア時代に出版された膨大な絵本を体系的に整理、調査した上で、彫版師、出版プロデューサーであったエドマンド・エヴァンズが展開した革新的な絵本出版活動を取り上げた正置友子氏の研究(Masaki, Tomoko. A History of Victorian Popular Picture Books. 3 vols. Kazama-shobo, 2006)は、日本のみならず英語圏でも画期的な研究として大きな反響を呼びました。2017年には、正置氏の協力のもと、『ウォルター・クレインの本の仕事』展が滋賀県立近代美術館ほかで開催され、これまでウィリアム・モリスの後継者として著名であったウォルター・クレインの初期の重要な活動として、エヴァンズとの共同成果である絵本出版の全貌が明らかにされました。この展覧会によって、後年のモリスとのつながりや、アーツ・アンド・クラフツ運動からのみ語られがちであったクレインの生涯にわたる活動の全貌が明瞭に捉えられるようになったことに加え、絵本出版というこれまであまり注目されることのなかった分野において、独創的な活動が展開されていたこと、しかもそこには日本の浮世絵版画が大きな影響を与えていたことなどが明確に示されることになりました。

「イギリスでウォルター・クレインの絵本に出会い、その絵本デザインの美しさに衝撃を受けたのは、20数年前。それから6年間イギリスに滞在し、クレインを核としてヴィクトリア時代(1837-1901)の絵本を、大英図書館、国立美術図書館(ヴィクトリア&アルバート・ミュージアム内)、オックスフォード大学図書館などで一冊一冊と丹念に、そして大量に見ていき、結果として A History of Victorian Popular Picture Booksとして纏めた。この過程で浮き彫りになったことは、ウォルター・クレインの絵本は、ヴィクトリア時代の爆発するようなエネルギーを背景とした、芸術と職人の技が結合し花開いた絵本文化であるということであった。」

「エヴァンズ(1826-1905)は、自伝のなかで、19歳のクレイン(1845-1915)との出会いについて次のように書いている。

 私は、彼がドローイングに抜群の能力をもっていることがわかった。クレインは、当時、リントン工房での修行を終えたところだった。私はすぐに彼の才能が彼の仕事に役立つと思った。彼は私のためにどんな種類の絵も描いてくれた。要するに、彼は天才だった。

 一方、クレインもその自伝のなかで、エヴァンズのことを書いている。

エヴァンズ氏は、仕事だけの人ではなく、自分でも水彩で絵を描くアーティストであった。子どもの本を作る時には、いっそうセンスのある色彩効果を得ようとして努力した。このことは、出版社からすれば、嬉しいことではなかった。というのは、出版社は、垢抜けのしない雑な着色で、俗悪なデザインの方が大衆には受けると考えていた。要するにその方が儲かると考えていた。したがって、新しい印刷方法をやってみるには、時間がかかった。

 2人は、1865年から1876年の12年間、カラー印刷の良い仕上がりを求めて、新しい印刷方法の実験を展開していく。それは、絵と彫版の関係性の問題でもあった。エヴァンズは、白黒印刷でも抜群の腕前を持っていたが、本来の研究熱心さと先を見通す眼で、カラー印刷の研究を開始し、すでに多色印刷でも名を成しつつあった。クレインと組んで絵本のカラー印刷を開始する前に、すでに非常に美しい多色印刷を完成させていた。(中略)
 エヴァンズは、仕上がりの良い絵を仕上げるには、絵師とのコラボレーションは不可欠であると考えていた。質の良い印刷紙とインクを使い、20色近い色数を使うことができるなら、美しい仕上がりの絵とページデザインの本を制作することができる。エヴァンズが並の印刷師でなかったのは、ここで満足しなかった点にある。彼は格安の、当時トイ・ブックと呼ばれていた絵本を制作しよう、それも美しい絵本を子どもたちのために制作しようと考えた。」
(正置友子「ウォルター・クレインの絵本:ヴィクトリア時代に芸術と職人の技によって花開いた絵本文化」占部敏子ほか(編)『絵本はここから始まった:ウォルター・クレインの本の仕事』青幻社、2017年所収、8-10ページより)

 19世紀半ば以降、イギリスではあらゆる印刷物において「挿絵」が含まれていることが大きなセールスポイントとなり、『イラストレイティッド・ロンドン・ニュース』に代表されるように、大型の挿絵を全面に押し出した週刊誌が爆発的な人気を得ていました。週刊誌という速報性があり、かつ大量部数を発行する必要があるメディアを可能にしたのは、木口木版と呼ばれる、それまで西洋ではほとんど用いられてこなかった木版画印刷技術で、銅板印刷並みの繊細な表現が可能でありながら、銅板印刷と違って金属活字と同じ凸版印刷を可能にし、しかも金属活字と同程度の耐久性を誇る木口木版は、当時の西洋における挿絵印刷の主流となっていました。エヴァンズはこの木口木版印刷の分野において極めて巧みな技術を有しており、彼の工房から豪華絢爛な多色刷木口木版画を多数収録した作品が生み出されました。

「ヴィクトリア時代は、木口木版の版木の上に画家が絵を描き、彫版師がその絵の通りに線や点を彫り上げ、その版木を印刷台の上に置き、上から押して印刷した。ヴィクトリア時代の絵本の絵を見るときに注意しなければならないのは、読者は画家の絵を見ているのではなく、その絵を彫版した人の技を見ているのだということ。
 ヴィクトリア時代には、子どもの本とは限らず、大人用の新聞、週刊誌、単行本にも挿絵が付けられ、それが販売のポイントでもあった。ロンドンには彫版工房も多く、そこでは、たくさんの彫版師たちが仕事をしていた。
 木版といっても、桜材などの柔らかい材質の木を用いる日本の浮世絵とは異なり、ヴィクトリアの木版は、柘植材などの硬質な木材をさらに小口に(年輪が見えるように)切って、一番硬い材質にして使用した。面積が広くても直径5センチほどの板しか取れなかったため、A4サイズ1ページ全面くらいの絵となれば、30枚以上の小片をボルトでぴったりと接合して使用した。」
「板目木版と比べると、線が硬い。板が硬いということは、彫ることが大変である一方、細かい線が彫れるという長所があり、彫り師は、1ミリに5本以上の線を入れることが出来る。板目木版でも1ミリの幅に5本以上入れるのだが、木口木版の場合は、浮世絵のように全体に流れる線や起伏よりも、細かな線のタッチを工夫することで、明るさと暗さを出し、風景の陰影や人物の感情表現までも可能にした。版木の硬さは、深く豊かな視覚表現を可能にしたばかりでなく、印刷部数の拡大という長所をもたらした。勿論、絵が良くなければ売れないわけだが、ここにエヴァンズが活躍する舞台があった。
 最後に、板目木版と木口木版の大きな違いは、印刷方法にある。どちらも、絵師、彫り師がいる。ここまでは共通している。その後、日本の浮世絵には、摺師がいて、1枚1枚を丁寧に摺る。1枚の浮世絵を色数分、摺ることになる。ヴィクトリア時代の場合は、大きな鋼鉄の印刷機械で、一冊分の絵本の印刷を、1枚の紙に印刷する。印刷紙が大きいので、機械の両側に人が立って、紙を次々と取り去る必要がある。何色かある場合は、その回数分、印刷する。」
(正置友子『イギリス絵本留学滞在記:現代絵本の源流 ウオルター・クレインに魅せられて』2017年、風間書房、187-189ページより)

 このような特徴を持つ木口木版の可能性を最大限にまで引き出すことができたのがエヴァンズで、彼は「時には20色ほども使って、彫版と印刷で仕上げることが出来」(前掲書194ページ)ました。しかし、それはあくまで単価の高い富裕層向けの特別な書物にのみ用いることができた技法で、より安価な一般民衆向けの書物の印刷にはそのような多大なコストを要する技術をそのまま用いることは不可能でした。

 しかし、エヴァンズは用いる用紙やインクの質を下げ、色数も大幅に削減しながらも、それまでにないクオリティの挿絵印刷を可能にする方法を編み出そうと努力し続けました。たとえば、用紙そのものを黄色味のあるものとして紙色自体を一色として用いることで、二色印刷でありながらも、実際には三色印刷と同等の効果を得られるようにするなど、独創的なアイディアで新しい印刷物を生み出しています。こうした努力を続けていたエヴァンズにとって、最大の転機となったのが当時若干19歳であったクレインとの出会いで、「2人は、1865年から1867年までの12年間、カラー印刷の仕上がりにおける絵と彫版の関係性の実験を行なってい」(前掲書197ページ)きます。

「クレインが絵を描き、エヴァンズが彫版・印刷するというコラボレーションは、絵本の歴史上、非常に幸せな出会いの偶然であり、必然であった。2人はそれぞれ自立していながら、お互いがお互いを必要としていた。どちらが欠けても、優れたトイブックは制作されなかった。
 結果として、2人は、6ペンスものを29冊、その倍の値段の1シリングものを8冊制作した。(中略)
 『1、2、靴を履こうよ』は、ナーサリーライムの唄を取り入れて、一冊の絵本に仕立てたもの。この絵は、当時のイギリスが、ジャポニズムの時代であったことを示している。おかあさんが幼い子を抱いて、ロッキングチェアに座っている。手にうちわを持って、その向うには、暖炉に火を入れていないときにその前に置く、小さなスクリーンがあり、浮世絵風の絵が描かれている。本箱の上には、シェイクスピアの胸像がある。イギリスの文化と日本の文化の集合という室内の光景。
 クレインは、日本の浮世絵を見て、落款に興味を持った。画面の左下に、縦長の楕円形があり、その中に鶴の絵が見える。「つる」は英語で ‘crane’ なので、クレインは、自分の落款として、縦長の鶴の絵と、名前のWalterの頭文字の ‘W’ を組み合わせて楽観とし、サインがわりによく使っていた。描き方は、幾通りもある。
 ここでは、黒以外に4色(赤、黄、青、薄いピンク)を使っている。1869年という時点で、すでに黒を色の一つとして使っていることにも注目したい。黒は色の一つだから、当たり前のことであるが、木版では黒はキーブロック(主版)として使われ、輪郭線用に使われてきた歴史があるため、黒を色の一つとして絵のなかで使うという発想が生まれにくかった。クレインが初めてという訳ではないが、黒を適切に使うと、線が引き締まる。
 『妖精の船』も、ナーサリーライムの一つ。ネズミたちが船乗りとして登場する。右下の三人は、それぞれ異なる職業に属している服装をしている。何の相談をしているか、聞き耳を立てたくなる。この絵で目を引くのは、ダイナミックな斜めの構図。前にぐっと舳先を大きく向け、向こうを細くして、遠近法を取り入れているが、この大胆さに、浮世絵の影響を感じる。ここでも、黒の使い方が目を引く。
 クレインは、その著『書物と装飾 挿絵の歴史』(高橋誠訳、1990年)の中で、浮世絵について次のように書いている。「私が力強い輪郭、平塗りの色、どっしりとした黒の量塊(マッス)を使うようになったのには、多くの要因があげられるが、中でもとくに日本の浮世絵版画の影響が大きかったと思う。」
 私は、日本の浮世絵の影響として、構図もあると考えている。
 この絵本も、色数は、黒の他に、4色(赤、黄、青、薄いピンク)である。」
(前掲書、216-220ページより)

 このように、安価でありながらも見るものを飽きさせない独創的な多色印刷の技法を駆使した優れた絵本作品が、エヴァンズとクレインという類稀なるコンビネーションによって次々と刊行されていきました。しかも、その独創性の源として日本の浮世絵版画が大きな影響を与えていたことは非常に興味深いことです。同じ木版画印刷とはいえ、板目木版と木口木版という大きく異なる手法であるにもかかわらず、クレインとエヴァンズは当時のイギリスに流れ込み始めていた日本の浮世絵版画に大きな衝撃を受け、それを自らの印刷物に活かす方法を編み出していったということ、しかもそれが、最も多くの人が読むであろう絵本作品において展開されていったということは特筆すべきことであると言えるでしょう。

 クレインとエヴァンズの絵本作品を出版したのは当時のロンドンにおける最大手出版社の一つであったラウトレッジ社(Routledge and Sons)で、彼らによる絵本作品が大きな人気を獲得していくと、絵師クレインの名前を全面に押し出したシリーズ作品として、2人の絵本作品を矢継ぎ早に刊行していきます。

「『ながくつをはいたねこ』の表紙は、絵本の歴史上、記念すべきデザイン。というのは、絵本の表紙に絵本画家の名前が入ったシリーズ名をつけることができた、最初の表紙だったから。右上に、”Walter Crane’s Toy Books” とあり、大きな鳥が”New Series” と書いたものをぶら下げている。
 ウォルター・クレインは、1865年から1876年の間に29冊の6ペンスのトイブックを作る。そのうち、1865年から1872年までの16冊は、自分でデザインしたそれぞれの表紙をつけている。1873年の絵本 My Mother から、”Walter Crane’s Toy Books: New Series” というシリーズ名がついた表紙を使う。13冊ある。この表紙の基調の色は、緑や黄やオレンジなどがあり、同じタイトルでも色の違うものがある。それでも、図柄は同じで、タイトルだけが、中身を表すことになる。
 表紙の四隅に、ナーサリーライムの主人公たちがいる。表紙絵の中では、子どものような鳥のような人たちが、クレインがデザインした絵本を見ている。それまでに出版した絵本がさりげなく、宣伝されている。
 『ながくつをはいたねこ』の第一ページ。真ん中少し右に頬杖をついているのが、粉屋の三男坊。普通子どもで描かれるが、この男性は、クレインの自画像。足元近くにある柱の下部にクレイン・マークの落款。粉屋の父親が死んで、長男は粉ひき屋を、次男はロバを、三男はねこをもらった。ねこをもらっても、これじゃ生きていけない、と三男坊が考えていると、ねこが声をかける。ここから物語は展開する。そのスタートの瞬間を、1枚の絵で物語っている。主人公のねこを真っ黒にし、絵の真ん中に置く。読者の目は、当然、くろねこに集中する。
 先ほども書いたように、絵本はわずか8ページ。その制限のなかで、どのように物語を展開させるか。しかも、言葉も入れなければならない。絵のデザインを壊さないで、文字を入れ込むにはどうしたらいいか、クレインは考えたことだろう。この絵でも、文字の入れ方は、角ばった枠のなかに書かれ、デザインとしてはぎこちなさが残る。それでも、文字と絵を凸版印刷で、黒のインクの時に一度で仕上げるという決まりをなんとか生かして、画期的な場面構成である。
(前掲書223-225ページより)

 こうしてついにクレイン自身の名を冠したシリーズが刊行されるまでに、エヴァンズとクレインが生み出した絵本作品は絶大な人気を博していきましたが、それにもかかわらず、出版社のラウトレッジ社は、クレインに対して最初に謝金を払っただけで、以後増刷しても印税を払わず、しかもクレインに無断で新たなシリーズや合冊本を刊行するなど、クレインらを蔑ろにするような販売活動を展開しました。こうしたラウトレッジ社の姿勢に対してクレインは何度か抗議を申し入れたようですが、残念ながら同社の姿勢は改められることはなく、結果的にクレインはラウトレッジ社による絵本出版の分野から手を引くこととなり、エヴァンズとクレインのコンビネーションによる絵本出版は37作品をもって終えることとなりました。とはいえ、クレイン、エヴァンズ共にその後もそれぞれに一層の活躍を見せ、クレインはモリスらとともにアーツ・アンド・クラフツ運動に身を投じてその中心人物となり、エヴァンズはコールデコット(Randolph Caldecott, 1846 - 1886)という現代の絵本賞に名を残す卓越したアーティストと新たなコラボレーションをはじめ、精力的に絵本出版活動を続けました。

 このように生涯にわたって多彩な活躍を見せた2人だけに、彼らが互いに惹かれあって意欲的に取り組んだ絵本作品群は、さまざまな観点から非常に重要な作品群であると思われますが、大量の部数が発行されたにもかかわらず、絵本という酷使され、磨耗してしまうことが宿命づけられているメディアのゆえに、また絵本文化というより一般向けのメディアであったがゆえに学術研究において評価される機会が長らく少なかったということもあって、現存するものはそれほど多くなく、状態が良いものとなると一層希少となってしまっています。このコレクションはエヴァンズとクレインという類稀なコンビネーションが生み出した綺羅星のような絵本作品全点を漏らすことなく丁寧に合冊したもので、裏表紙に欠損が見られるものが数冊あるものの、基本的に非常に良好な状態なものばかりが集められているという、極めて貴重で重要なコレクションと言えるものです。

*本書に収録されている作品一覧とそのサイズは下記参照。

Vol.1: 23.0 cm x 23.7 cm.

1. PRINCESS BELLE-ETOILE.(『ベル・エトワール姫』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / SHILLING SERIES)
London & New York: George Routledge and Sons.

2. ALPHABET of Old Friends.(『古いお友だちのアルファベット』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / SHILLING SERIES)
London & New York: George Routledge and Sons.

3. The FROG PRINCE.(『かえるの王子』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / SHILLING SERIES)
London & New York: George Routledge and Sons.

4. ALADIN; OR, THE WONDERFUL LAMP.(『アラディンと魔法のランプ』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / SHILLING SERIES)
London & New York: George Routledge and Sons.

5. BEAUTY and The BEAST.(『美女と野獣』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / SHILLING SERIES)
London & New York: George Routledge and Sons.

6. The YELLOW DWARF.(『黄色い小人』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / SHILLING SERIES)
London & New York: George Routledge and Sons.

7. GOODY TWO SHOES.(『靴ふたつさん』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / SHILLING SERIES)
London & New York: George Routledge and Sons.

8. THE HIND IN THE WOOD.(『森のめじか』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / SHILLING SERIES)
London & New York: George Routledge and Sons.


Vol.2: 18.0 cm x 24.5 cm

9. PUSS IN BOOTS.(『長靴をはいた猫』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / NEW SERIES)
[London]: George Routledge & Sons.
*裏表紙が欠損

10. OLD MOTHER HUBBARD.(『ハバードおばさん』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / NEW SERIES)
[London]: George Routledge & Sons.
*裏表紙の大半が欠損

11. CINDERELLA.(『シンデレラ』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / NEW SERIES)
[London]: George Routledge & Sons.
*裏表紙の大半が欠損

12. THE THREE BEARS.(『3匹のクマ』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / NEW SERIES)
[London]: George Routledge & Sons.
*裏表紙の大半が欠損

13. VALENTINE AND ORSON.(『ヴァレンタインとオルソン』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / NEW SERIES)
[London]: George Routledge & Sons.
*裏表紙の大半が欠損

14. BLUEBEARD.(『青ひげ』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / NEW SERIES)
[London]: George Routledge & Sons.

15. JACK and the BEANSTALK.(『ジャックと豆の木』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / NEW SERIES)
[London]: George Routledge & Sons.

16. THE FORTY THIEVES.(『アリババと四十人の盗賊』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / NEW SERIES)
[London]: George Routledge & Sons.

17. LITTLE RED RIDING HOOD.(『赤頭巾ちゃん』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / NEW SERIES)
[London]: George Routledge & Sons.
*裏表紙の大半が欠損

18. 1・2・BUCKLE MY SHOE.(『1、2、靴の留金とめて』)
London: Goerge Routledge & Sons.

19. SING A SONG OF SIXPENCE.(『6ペンスの唄を歌おう』)
London: George Routledge & Sons.

20. CHATTERING JACK.(『おしゃべりジャック』)
London: George Routledge & Sons.

21. This Little Pig went to Market.(『この子豚ちゃん市場へ行った』)
London: George Routledge & Sons.

22. THE ABSURD A.B.C.(『おかしなABC』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / NEW SERIES)
[London]: George Routledge & Sons.
*裏表紙の大半が欠損

23. The SLEEPING BEAUTY.(『眠り姫』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / NEW SERIES)
[London]: George Routledge & Sons.


Vol.3: 18.5 cm x 24.5 cm.

24. ANNIE AND JACK IN LONDON.(『アニーとジャックのロンドン見物』)
London: George Routledge & Sons.
*裏表紙の一部が欠損

25. MY MOTHER.(『私のお母さん』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / NEW SERIES)
[London]: George Routledge & Sons.
*裏表紙の一部が欠損

26. ADVENTURES OF PUFFY. BY THE AUTHOR OF “HOW JESSIE WAS LOST”.(『パフィーの冒険』)
London: George Routledge & Sons.,

27. THE MULTIPLICATION TABLE IN VERSE.(『ことわざ掛け算』)
London: George Routledge & Sons.

28. HOW JESSIE WAS LOST.(『迷子になったジェシーのお話』)
London: George Routledge & Sons.

29. BABY’ OWN ALPHABET.(『幼子自身のアルファベット』)
(WALTER CRANE’S TOY BOOKS / NEW SERIES)
[London]: George Routledge & Sons.

30. KING LUCKIEBOY’S PICTURE BOOK.(『ラッキーボーイ王のパーティー』)
London: George Routledge & Sons.

31. THE NOAH’S ARK ALPHABET.(『ノアの方舟のアルファベット』)
London: George Routledge & Sons.
*裏表紙の大半が欠損

32. A GAPING-WIDE-MOUTH WADDLING FROG.(『よちよち歩く大口かえる』)
London: George Routledge and Sons.

33. GRAMMAR IN RHYME.(『韻文になる文法))
(AUNT MAVOR’S TOY BOOKS.)
London: George Routledge & Sons.
*裏表紙の大半が欠損

34. THE FARM YARD ALPHABET.(『農場のアルファベット』)
(AUNT MAVOR’S TOY BOOKS.)
London: George Routledge & Sons.

35. The OLD COURTIER.(『年老いた廷臣』)
London: George Routledge & Sons.

36. THE FAIRY SHIP.(『妖精の船』)
London: George Routledge and Sons.
*裏表紙の大半が欠損

37. THE RAILROAD ALPHABET.(『鉄道のアルファベット』)
(AUNT MAVOR’S TOY BOOKS.)
London: George Routledge & Sons.
*裏表紙の一部が欠損

クレインとエヴァンズが生み出した全37点の絵本作品が3冊に合冊されて丁寧に保管されている。
第1巻はややサイズの大きい「1シリングもの」シリーズ作品が8点収められている。
1. PRINCESS BELLE-ETOILE.(『ベル・エトワール姫』)
どの作品も裏表紙は出版社であるRoutledge社が手がけていたトイブックのカタログとなっている。
2. ALPHABET of Old Friends.(『古いお友だちのアルファベット』)
3. The FROG PRINCE.(『かえるの王子』)
4. ALADIN; OR, THE WONDERFUL LAMP.(『アラディンと魔法のランプ』)
5. BEAUTY and The BEAST.(『美女と野獣』)
6. The YELLOW DWARF.(『黄色い小人』)
7. GOODY TWO SHOES.(『靴ふたつさん』)
8. THE HIND IN THE WOOD.(『森のめじか』)
第2巻は第1巻と比べるとやや小ぶりな「6ペンスもの」作品が収められている。
9. PUSS IN BOOTS.(『長靴をはいた猫』)
この作品は、初めて絵師の名前がシリーズ名に冠せられたという記念すべき作品である。左ページの人物はクレイン自身の自画像と言われている。
10. OLD MOTHER HUBBARD.(『ハバードおばさん』)
11. CINDERELLA.(『シンデレラ』)
12. THE THREE BEARS.(『3匹のクマ』)
13. VALENTINE AND ORSON.(『ヴァレンタインとオルソン』)
14. BLUEBEARD.(『青ひげ』)
15. JACK and the BEANSTALK.(『ジャックと豆の木』)
16. THE FORTY THIEVES.(『アリババと四十人の盗賊』)
17. LITTLE RED RIDING HOOD.(『赤頭巾ちゃん』)
18. 1・2・BUCKLE MY SHOE.(『1、2、靴の留金とめて』)
19. SING A SONG OF SIXPENCE.(『6ペンスの唄を歌おう』)
20. CHATTERING JACK.(『おしゃべりジャック』)
21. This Little Pig went to Market.(『この子豚ちゃん市場へ行った』)
22. THE ABSURD A.B.C.(『おかしなABC』)
23. The SLEEPING BEAUTY.(『眠り姫』)
第3巻は第2巻と同じく、「6ペンスもの」を収録している。
24. ANNIE AND JACK IN LONDON.(『アニーとジャックのロンドン見物』)
25. MY MOTHER.(『私のお母さん』)
26. ADVENTURES OF PUFFY. BY THE AUTHOR OF “HOW JESSIE WAS LOST”.(『パフィーの冒険』)
27. THE MULTIPLICATION TABLE IN VERSE.(『ことわざ掛け算』)
28. HOW JESSIE WAS LOST.(『迷子になったジェシーのお話』)
29. BABY’ OWN ALPHABET.(『幼子自身のアルファベット』)
30. KING LUCKIEBOY’S PICTURE BOOK.(『ラッキーボーイ王のパーティー』)
31. THE NOAH’S ARK ALPHABET.(『ノアの方舟のアルファベット』)
32. A GAPING-WIDE-MOUTH WADDLING FROG.(『よちよち歩く大口かえる』)
33. GRAMMAR IN RHYME.(『韻文になる文法))
34. THE FARM YARD ALPHABET.(『農場のアルファベット』)
35. The OLD COURTIER.(『年老いた廷臣』)
36. THE FAIRY SHIP.(『妖精の船』)
37. THE RAILROAD ALPHABET.(『鉄道のアルファベット』)