書籍目録

『ファルベール著作集』全2巻+『レ・ジャマボ:あるいは日本の僧』

ファルベール

『ファルベール著作集』全2巻+『レ・ジャマボ:あるいは日本の僧』

(3冊セット) 1787年 パリ刊

Falbaire, Fenouillot de.

Œuvres DE M. DE FALBAIRE DE QUINGEY,…TOME PREMIER / SECOND. / LES JAMMABOS, OU LES MOINES JAPONOIS; TRAGÉDIE, DÉDIÉE AUX MANES DE HENRI IV,…

Paris / London (i.e.Paris), Veuve Duchesne / s.n.(i.e. as same as previous vols.), M. DCC. LXXXVII.(1787) / n.d. (i.e. as sam as previous vols.). <AB2024152>

Sold

(3 vols. set)

8vo (13.5 cm x 21.3 cm), Vol.1: Front., Title., 2 leaves, pp.[1, 2], 3-375, Plates: [9]. / Vol.2: Title., 1 leaf, pp.[1, 2], 3-216, 117(i.e.217), 218-245, 1 leaf, Plates: [5]. / [Vol.3]: pp.[1(Title.), 2], 3-242, Original paper wrappers.
刊行当時のみ簡易製本の状態。3巻目にはタイトルページに「第3巻」との表記はなく、刊行地はロンドンとされ、出版社や出版年も記されていないが、実際にはパリで全2巻と同じ出版社から刊行されたものと推定される。3巻目の背表紙に当該本が第3巻であること示す、当時のものと思われるペンによる書き入れあり。

Information

18世紀のフランスで匿名で刊行された日本を題材にした興味深い演劇作品を含む、大変貴重な全集版

ただいま解題準備中です。今しばらくお待ちくださいませ。

「朝鮮の麗しき姫君、アジェニー(Agénie)は思い悩んでいる。と言うのも、彼女が愛する許婚のオキマ(Okima)は、日本の「在俗皇帝 (Empereur Séculier)」タイコ(Taiko)の長男で跡取りだと言うのに、良からぬ宗教を信奉しているようだ。ただ彼は、タイコが朝鮮にやって来た時に、狼藉者から彼女を救ってくれた命の恩人なのだ。オキマの弟タンマ(Tamma)は、兄に比べるとずいぶん聡明な男性に見える。実は彼もアジェニーのことを密かに愛しているのだが、そんなことはおくびにも出さず、中国からやって来た哲人宰相のイルマジス(Ilmagis)を何かと頼っていて、宰相の引退を引き止めている。そして皇帝とオキマの周辺では、アミダ(Amidas)とシャカ(Siaka)を信じるボン(Bonzes)と、ボンズのライバルでカミ(Camis)を奉ずるジャマボ(Jammabos)が暗躍している。愛憎渦巻く宮廷での三角関係、仏教と修験道と儒教とおぼしき信仰の三つ巴の競争、そしてタイコ退位後の権力の行方はいかに…。
 もし仮に18世紀に書かれたフランス語の演劇作品『レ・ジャマボ:あるいは日本の僧 (Les Jammabos ou les moines japonois, 以下レ・ジャマボ)』(1779)が映画やドラマにでも翻案されれば、(面白いかどうかはさておき)このような筋書で宣伝されるのは間違いないだろう。管見の限りでは、この作品を単独で研究対象とした純粋な文学研究は存在しない。そのことから、これまでのこの作品に対する一般的な文学的評価については、想像にお任せする。ただし、この作品を歴史学の視覚から検討すると、18世紀後半のヨーロッパにおける日本像について興味深い一側面が照射される。実際『レ・ジャマボ』は印刷部数が多く、当時は多数の反響も見られた。その創作の経緯、出典、イエズス会演劇の主要なテーマを逆手にとった演出は、当時の日本像だけでなく、啓蒙時代のフランスの知的・哲学的環境と、そこでこの演劇が果たしたであろう役割について、貴重な手がかりを与えてくれるものである。」
(小俣ラポー日登美「山伏に擬せられたイエズス会士:とある啓蒙思想家から見た日本」京都大学人文科学研究所『人文学報』第121号、2023年所収論文、93ページより)

匿名で刊行地をロンドンと偽って出版された『レ・ジャマボ』を「全集第3巻」とする背表紙への書き込みがある。
第1巻タイトルページと著者肖像画。
第1巻目次
第2巻タイトルページ
第2巻目次
「第3巻」とされた、日本を題材にした演劇作品『レ・ジャマボ』
『レ・ジャマボ』タイトルページ。著者名は記されておらず、刊行地はロンドンとされているが、第2巻までと同じ著者の作品が、同じ出版社からパリで刊行されたものと見て間違いない。
全5幕からなる本文に続いて、著者による興味深い注釈が掲載されている。
注釈末尾。