書籍目録

「中国、朝鮮、ならびに日本地図」

(ルドルフ・ブロックハウス)

「中国、朝鮮、ならびに日本地図」

(『ブロックハウス百科事典』第13版からの抜粋) [1882年-1887年] ライプチヒ刊

(Brockhaus, Rudolph)

CHINA, KOREA UND JAPAN.

Leipzig, F.A.Brockhaus' Geogr:-artist. Anstatt, [1882-1887]. <AB2024150>

Reserved

(Extracted from Brockhaus' Conversations-Lexikon. 13rd ed.)

24.8 cm x 30.6 cm, 1 colored map,

Information

200年以上の伝統を誇った『ブロックハウス百科事典』に収録された東アジア地図

 本図は18世紀末から21世紀初頭に至るまでの200年以上にわたってドイツ語圏を代表する百科事典であった『ブロックハウス百科事典』の第13版に収録されていた小型の東アジア地図で、1882年から1887年のいずれかにおいて刊行されたものと思われます。小型の地図ながら非常に精密に描き込まれており、当時の一般的な地理認識を伺うことのできる地図となっています。

 『ブロックハウス百科事典』は1796年から1808年にかけてConversations-Lexikonで刊行が開始されたドイツ語圏における再初期の一般向け百科事典の権利を1808年に買い取ったアーノルド・ブロックハウス(Friedridh Arnold Brockhaus, 1772 - 1823)がその改訂版の刊行を続けた百科事典で、当時大いに好評を博したことからアーノルド没後もその子孫たちによって改訂版の出版が継続され、1882年から1887年にかけて刊行された第13版において、そのタイトルにブロックハウスの名を冠したことを契機にその名で呼ばれるようになりました。この第13版はブロックハウス社の創立者であるアーノルドの孫にあたるルドルフ・ブロックハウス(Heinrich Rudolf Brockhaus, 1838 - 1898)が多くの協力者の助けを得ながら刊行されたことがわかっています。『ブロックハウス百科事典』は、ヨーゼフ・マイヤー(Joseph Meyer, 1796 - 1856)が手がけた百科事典と並んで、ドイツ語圏における百科事典を代表する出版物として今日でも高く評価されています。

 本図には刊行年の記載がありませんが、左下余白に『ブロックハウス百科事典』第13版収録図であることが明記されており、1882年から1887年のいずれかにおいて刊行されたことを推定することができます。同時代のマイヤーの百科事典に収録されていた「中国と日本図」と極めてよく似ており、小型ながらも細部に至るまで精密に描き込まれており、当時の一般的な地理情報と認識が簡潔にまとめられています。各国、地域の領土も手彩色で塗り分けられており、この点はマイヤの百科事典収録図には見られない本図独自の特徴と言え、また当時のドイツ語圏の大型地図に見られる特徴を小型地図にも応用した作例であるとも言えます。