書籍目録

「ジョンソンによる中国と日本地図」

アルヴィン・ジョンソン

「ジョンソンによる中国と日本地図」

(『ジョンソンによる家庭用アトラス』からの抜粋) [1870年] ニューヨーク刊

Johnson, A(lvin). J(ewett)..

JOHNSON'S CHINA AND JAPAN.

New York, A.J.Johnson, [1870]. <AB2024129>

¥66,000

(Extracted from Johnson's New Illustrated (Steel Plate) Family Altas).

46.0 cm x 67.5 cm, 1 colored map,

Information

当時アメリカで高い名声を得ていたジョンソンの地図帳に収録されていた東アジア図

 本図は1870年にニューヨークで刊行されたと思われる中国と日本を中心に東アジアを描いた地図です。本図を制作したアルヴィン・ジョンソン(Alving Jewett Johnson, 1827 - 1884)は、当時ニューヨークで随一の評判を誇った一般家庭向けの地図帳出版を行なっていた人物です。彼の手がけた地図帳(Johson's New Illustrated Family Atlas)は、細かな改訂を絶えず行い続けていたことが知られており、そこに収録されている世界各地の地図は、現在の歴史研究においても重要な史料として活用されています。

 ジョンソンが自身の地図帳を初めて出版した1860年は、アメリカにおける地図帳出版が盛んになっていた時期にあたり、ミッチェル(Samuel Augustus Mitchell, 1792 - 1868)親子による地図帳(Mitchell's New General Atlas)や、コルトン(Joseph Hutchins Colton, 1800 - 1893)による地図帳(Colton's General Atlas)がすでにアメリカ国内で好評を博していました。ジョンソンは彼らと比べると後発の地図帳出版社として参入しましたが、先に述べたような細かな改訂と情報の正確さから評判を高め、経済的にも大いに成功することができました。ジョンソンの地図帳には単独の日本図や、本図のような東アジア図が収録されていて、こうした地図はこれらの地域に対するアメリカ国内における関心の高まりに応えうる地図として活用されたものと思われます。

 本図そのものには刊行年の記載がありませんが、1870年に刊行されたジョンソンの地図帳に収録されていたものが抜き取られていたものと思われます。ジョンソンの地図帳に収録されていた地図はコレクターズアイテムとしても人気があるようで、本図のように地図帳から個別に切り取られた地図が現在でもしばしば欧米の古書市場で販売されています。


「見事なアメリカの石版地図は、1868年頃に、ニューヨークでA・J・ジョンソンの会社によって出版された。ジョンソンは、同僚のニューヨーク出版者J・H・コルトンと親しく協力して、1862年に協同で、「家族地図帳」を作成した。 両者の地図が、同じ様式で、装飾的な縁取りや同じ淡彩画の原画であることは驚くにはあたらない。 この精緻な地図は中国全図と、北海道のある日本を描き、右下には広東の商館の詳細な挿入図がある。日本地図の下にある右上の数字の記号表は日本の49の地域を明らかにしている。」
(放送大学図書館「デジタル貴重書室:西洋古版日本地図」No.199より)(https://lib.ouj.ac.jp/gallery/virtual/kochizu/index_1800_04.html)