書籍目録

『日本の春』

クレイチ

『日本の春』

1923年 プラハ刊

Krejci, F(rantisek). V(aclav).

JARO V JAPONSKU.

Prague (Praha), Janstenc, 1923. <AB2020269>

Sold

15.5 cm x 22.8 cm, 1 leaf(blank), Half Title., Title., 1 leaf(contents), Front., pp.1-105, [106], 1 leaf(blank), Plates: [15], Original half cloth on pictorial car boards.

Information

チェコのジャーナリストによる日本旅行記

 本書は、著者クレイチ(Frantisek Vaclav Krejci, 1867 - 1941)が、1920年4月26日 ウラジオストック経由で日本を訪れた際の旅行日記の体裁をとった書物です。クレイチは、ジャーナリスト、批評家、作家として、またチェコスロバキア共和国の初代大統領にして哲学者であったマサリク(Tomáš Garrigue Masaryk, 1850 - 1937)から大きな影響を受けて、政治家としても活躍した人物です。

 彼が来日した経緯と目的については不明ですが、本書には下関、宮島、京都、東京、日光、横浜の各地を訪れ、著者が体験した出来事や考察が記されています。本文中の随所に写真が散りばめられているのも特徴で、下関の赤間神宮の鳥居や、宮島の厳島神社の鳥居、子供をおんぶして子守りをする女児の写真など、当時の日本のイメージとして欧米に広く受容されていた場所や場面を撮影した写真が収録されています。クレイチが訪ねている場所や写真に写された場面は、当時の欧米人旅行者が日本を訪れた際の定番とも言える場所ばかりで、その点では独自性に欠けるとも言えますが、チェコ語で写真入りで紹介された日本滞在記という点においては、決して類書が多くない、珍しい旅行記とも言えます。