書籍目録

「中華帝国、日本帝国、東方の島々の完全にして最新の地理的記述」『最新地理学の完全なる手引き』第4部第4巻(通巻第15巻)

ガスパリほか編

「中華帝国、日本帝国、東方の島々の完全にして最新の地理的記述」『最新地理学の完全なる手引き』第4部第4巻(通巻第15巻)

1822年 ヴァイマール刊

Gaspari, Adam Christian…[etal.](eds.)

Vollsändige und neueste Erdbeschreibung des Chinesischen Reich’s, Japan’s und des östlichen Archipels [IN] Vollständiges Handbuch der neuesten Erdbeschreibung…Vierte Abtheilung, Vierter Band, des ganzen Werkes funfzehnter Band…

Weimar, Geographischen Instituts, 1822. <AB2020254>

Reserved

8vo (11.6 cm x 20.0 cm), pp.[I(blank), II(Title. for this vol.), III(Title. for this series)-V], VI-XVI, [1-3], 4-920, Half leather on marble boards.

Information

独自の視点で各種文献を駆使して展開された日本論

 本書の著者であるガスパリ(Adam Christian Gaspari, 1752 - 1830)は、ドイツ語圏を代表する地理学者の一人です。本書は、第1部(全6巻)、第2部(全3巻)、第3部(全2巻)、第4部(全4巻)、第5部(全5巻)、第6部(全2巻)、第7部(全1巻)で構成される大部の地理学事典のうち、第4部第4巻に当たるもので、日本を含む東アジア、東南アジア諸国を対象としています。日本については、399頁から528頁にわたって論じられていて、その内容は事典の一部の記事とは思えないほど非常に充実しており、冒頭に当時最新の文献一覧を、概論、航海記、地図の分野別に分けて掲載するなど、学術的な正確さを重視していることも伺えます。日本関係記事の構成は下記のようになっており、ガスパリが当時入手できた多くの文献を用いて自身の観点から「日本論」を展開していることがよくわかります。

第1章:名称、位置、大きさについて (401頁-)
第2章:自然地理学的記述 (402頁-)
    α) 土壌、山岳、河川、地質学的特徴について
     a) 日本(Nifon、本州のこと)
     b) 九州(Kiusiu / Ximo)
     c) 四国(Sikoko)
    β) 気候について
    γ) 自然産出物について
     aa) 動物から採れるもの
     bb) 植物から採れるもの
     cc) 鉱物から採れるもの
第3章:日本の住民について (419頁-)
    a) 人口
    b) 住居(家屋)
    c) 祖先
    d) 宗教
     1) 神道(Die Sintoreligion)
     2) 仏教(Der Buddhaism / Die Budsdoreligion)
     3) 儒教(Die Religion des Confutse)
     4) 太陽信仰(Die Gestitnanbetung)
    ee) 階級
第4章:人柄(土地柄)、手工芸、商業(交易)について (441頁-)
    a) 人柄(土地柄)
    b) 手工芸
    c) 商業(交易)
     ) 度量衡
第5章:学芸について (454頁-)
第6章:国法について (459頁-)
第7章:国家行政について (461頁-)
第8章:財政について (464頁-)
第9章:軍隊について (465頁-)
第10章:地理区分:日本を構成する主要4部について
    A) 日本帝国
     a) 日本島(Die Insel Nifon、本州)
      aa) 奥州(Ochio)
      bb) 関東(Quanto)
      cc) 越前(Jetsegen)
      dd) ?(Jetsen)
     d(i.e. b))九州
     c) 四国
    B) 蝦夷島とクリル諸島南部
     1) 名称、位置、大きさ
     2) 自然地理学的記述
     c(I.e.3) 人柄(土地柄)、手工芸、商業(交易)
     4) 住民
     5)主要行政機関
     6) 地理区分
      a) 松前(Matumai)
      b) アイヌの国(Ainu=Khuni)
      c) 蝦夷島の東岸、および西岸にある小島郡
      d) クリル諸島南部(Die Südlichen Kurilen)
    C) 樺太島、あるいはサハリン(Die Insel Karafta oder Sachalin)
     a(i.e.1) 名称、位置、大きさ
     2) 自然地理学的記述
     3) 住民
     4) 地理区分
    D) 無人諸島郡(Die Inselgruppe Bonin、小笠原諸島)

 130ページ程の記事とはいえ、地理だけではなく、日本の政治や文化、歴史、風習、宗教などの話題についても章を分けて解説しており、また近接地域との関係も論じるなど、独立した日本誌と言える内容となっています。

本書のタイトルページ。
本書がその1冊である叢書全体のタイトルページ
序文冒頭箇所。
目次冒頭箇所。
日本については、399頁から528頁にわたって論じられている。
上掲続き。
本冒頭箇所、冒頭は中国についての記述から始まっている。
日本観系記事扉ページ。
参照すべき文献が分野ごとに整理して紹介されている。この文献目録だけでも当時の日本情報源をうかがえる興味深いもの。
日本関係記事冒頭箇所。
細かに節を区切って多方面にわたるトピックが整然と論じられている。
地理区分については各国(藩)を番号を付して個別に紹介している。
蝦夷とクリル諸島南部も日本を構成する地域とされている。
樺太も日本を構成する地域としている。
フランスの東洋学者レミュザによって紹介されたばかりの「舞人島(小笠原諸島)」についても日本の構成地域としている。
刊行当時のものと思われる装丁で状態は良好。