書籍目録

「中華帝国ならびに日本島図」

モル

「中華帝国ならびに日本島図」

[1736年] [ロンドン刊]

Moll, Herman.

The Empire of CHINA and Island of JAPAN, Agreeable to Modern History.

[London], [Thomas Bowles], [1736]. <AB201950>

Sold

1 sheet map (29.0 cm x 37.0 cm), contemporary colored,
旧蔵機関の蔵書印あり。

Information

18世紀イギリスを代表する地図製作者モルが手がけた日本図

 本図は、イギリスの地図製作者であるモル(Herman Moll, ? - 1732)によるもので、彼の死後に刊行された地図帳(Atlas Minor. 1736)に収録されていた地図です。モルは、当時のヨーロッパを代表する地理学者、地図製作者で、日本を含む数多くの地図を製作しています。モルが作成した地図は、その死後も繰り返し様々な出版物に掲載されており、とくにイギリスにおいては18世紀中に強い影響力を持ったものと思われます。

 地図中に描かれた日本は、系統としてはマルティーニ / モレイラ型に属するものと思われるもので、マルティーニ(Martini MArtino, 1614 - 1661)による中国地図帳(Novus Altas Sinensis, 1655)に収録された日本図に近いものです。モルは1712年に刊行した地図帳第3巻(Atlas Geographus, or a Compleat System of Geography, Vol. 3)において、日本図(Iapon or Niphon)を発表しており、直接的にはこれを底本としたものと思われますが、地名や描き方に違いが見られることから本書のために改訂を施したことが伺えます。本図では、現代の北海道に当たる蝦夷(LAND of IESSO)は、その輪郭が極めて曖昧に描かれており、また大陸の一部として繋げて描かれていて、この付近の情報が極めて貧弱であったことが見て取れます。

 本図と同じ地図は、1725年に刊行されたサーモン(Thomas Salmon, 1679 - 1767)の『万国民の現代史』第1巻(第3版)に収録されたものが初出と思われますが、本図はテキスト情報を追記していて、「日本島が島であるのかどうか、あるいは蝦夷大陸とつながっているのかどうかについては確定されていない」などといった、当時の日本北辺近海に関するヨーロッパ地図学者の混乱した状況をうかがわせる内容を読み取ることができます。