書籍目録

『日本証券の手引き:政府国債、自治体公債、鉄道、商船債権』

ダン・フィッシャー社

『日本証券の手引き:政府国債、自治体公債、鉄道、商船債権』

1906年 ロンドン刊

Dunn, Fischer & Co.

MANUAL OF JAPANESE SECURITIES. Government and Municipal Loans, Railway and Shipping Debentures.

London, Dunn, Fischer & Co, 1906. <AB201912>

¥110,000

8vo. (15.3 cm x 23.3 cm), 1 leaf, pp.[1(Title.)-4], 5-87, Original pictorial cloth.
前半ページの上部余白に虫食い?による小さな穴あり。

Information

気鋭の証券会社が作成した、急激に成長する日露戦争後の日本証券市場分析と投資の手引

 本書は、1906年に創業したばかりの気鋭の証券会社ダン・フィッシャー社(Dunn, Fisher & Co.)が刊行した、日本証券市場への投資を促すための手引書です。日清、日露戦争という度重なる戦争遂行のために、明治政府は積極的な外債募集によって戦費の調達を行いましたが、これらも契機となって日本証券市場への注目の高まりと、それらをビジネスチャンスと見た証券会社の活動が活性化していきます。特に、イギリスにおいては、日英同盟とその更新もあって、日本の証券市場への関心は非常に高まっていたものと思われます。本書は、こうした機運を背景にして刊行されたもので、当時のロンドン、シティ街における日本証券市場への関心のありようを示す大変興味深い書物です。

 本書は、日本の証券市場を理解する上で重要となる、近年の日本の経済状況に関する報告として、保有する資源や対外貿易の様子、歳入と歳出、ロシア戦争遂行に伴う出費とその調達といった、経済状況の概説が最初に掲載されています。そこでは、日本の経済が近年著しく躍進を遂げており、その伸び率は他に類を見ないものであることが強調されています。こうした記述からは、日本証券市場への投資が非常に有望である、という期待感を強く読み取ることができます。

 こうした概説に続いて、日本証券市場で現在取引されている各種証券商品が具体的に解説されており、国による様々な外債だけでなく、東京、横浜、大阪、京都、神戸、長崎といった主要港を要する大都市が発行していた市債についても掲載しています。また、日本銀行や横浜正金銀行といった金融機関の概説や、山陽鉄道や大阪商船といった鉄道・船舶会社が発行する債権についても掲載しています。本書のこれらの記事は、当時の日本の経済状況をイギリスの民間金融業界がどのように捉えていたのかを具体的に示す大変興味深いもので、国家による公式統計とはまた異なる視座を持った資料と言えそうです。