書籍目録

『1908年カレンダー』(ちりめん本)

S.Y.タンク社

『1908年カレンダー』(ちりめん本)

(1907年?) 東京刊

S. Y. TANK CO. DIRECT IMPORTERS OF CHINESE AND JAPANESE GOODS….

CALENDAR 1908.

Tokyo, (Manufactured by) ISOKIN & Co, (1907?). <AB20193>

Sold

Oblong, 6.4 cm x 7.8 cm, Crepe paper book, 13 folded crepe papers including the covers (i.e. 26 pages), Bound in Japanese style, silk tied.

Information

長谷川以外の大変珍しい小型のちりめん本カレンダー

 ちりめん本とは、ちりめん布を模した柔らかい和紙に、欧文の日本昔噺を中心とした物語と、美しい挿絵を多色刷りで印刷した書物の総称で、主に明治期から昭和30年代ごろまで刊行されたものです。その美しい和紙の質感から海外ではCrepe paper booksと呼ばれています。ちりめん本の中でも特に有名な版元であったのが、長谷川武次郎による弘文社で、長谷川が刊行したちりめん本はその量、質において他社を圧倒していました。

 長谷川は数多くのカレンダー仕立てのちりめん本を作成していたことでも知られていますが、本書は、長谷川以外の出版社によって作成された、大変珍しい小型の1908年用のちりめん本カレンダーです。横長で6.4 cm x 7.8 cm という、とても小さく可愛らしいサイズながら、見開きごとに一月を配してその月を彩るような象徴的な場面が描かれていて、その造りは大変凝ったものです。表紙の表記を見る限り、S.Y.タンク社という中国や日本の物品を扱っていたボストンの会社が、何らかの記念として作成したものと思われますが、詳しい経緯はわかっていません。裏表紙には、制作元として、ISOKIN & Co.という表記がありますが、この会社についてもやはり不明で、他に同様のちりめん本を作成していたのかについてもわかっていません。同種のちりめん本カレンダーで、長谷川以外の作品としては、審美書院によるものなどが知られていますが、本書に記載された会社に関連するちりめん本カレンダーというのは、おそらくこれまで全く知られていないのではないかと思われます。

表紙
一月:新年の門松
二月:梅
三月:桜
四月:藤
五月;こどもの日と鯉のぼり
六月:牡丹
七月:七夕
八月:花火と十五夜
九月:菊
十月:えびす講
十一月:楓の紅葉
十二月:初雪
裏表紙。作成者についての詳細は不明。