書籍目録

『日本のことわざ』

グリフィス / (ニューヨーク・ジャパンソサエティ)

『日本のことわざ』

(1926年?) ニューヨーク刊

Griffis, William Elliot.

PROVERBS OF JAPAN: A little picture of the Japanese philosophy of life as mirrored in their proverbs.

New York, (New York) Japan Society, Inc, (1926?). <AB2018141>

Sold

16.0 cm x 23.5 cm, pp.[1(Title.)-4], 5-39, Original paper wrappers.
後半部分に封切りされていない箇所あり。

Information

当時最大の日本学者『皇国』の著者グリフィスが、排日移民法によって日米関係の緊張感が高まる中、ニューヨーク・ジャパン・ソサエティのために書き下ろした小論文

 福井藩校名新館で理科を教授するために1871年に来日し、1872年からは大学南校で教鞭をとったグリフィス(Willliam Elliot Griffis, 1843 – 1928)は、明治に来日したいわゆる御雇外国人の中でも、親日家としてだけでなく、本格的な日本研究者として当時から高く評価されています。特に1876年に刊行した『皇国(The Mikado’s Empire.)』は、彼が在日中と帰国後に進めた日本史研究の成果と、滞在記を合わせた作品として広く読まれました。本書は、このグリフィスが、ニューヨークのジャパン・ソサエティのために書き下ろした小論文で、日本のことわざをテーマとして独創的に論じた文献です。

ニューヨーク・ジャパン・ソサエティー(以下JS)は、1907年に日米友好と文化交流の促進を目的として設立された非営利団体で、太平洋戦争の困難な時期を乗り越えて現在もなお活発に活動しており、100年以上にわたって日米友好の促進に尽力してきていることから、民間レベルの日米交流史を紐解く上でも最も重要な組織ということができます。JSは、アメリカの日系企業からの寄付金を元にJS内に設けられたハリス基金委員会(Townsend Harris Permanet Endowment Fund Committee of the Japan Society)の援助を受けて様々な出版活動を行うことにより、日米相互理解、特にアメリカにおける日本社会、文化、政治、経済の正しい理解と友好関係の促進を図っていました。特に日米間の緊張をいっそう高めることになった1924年の排日移民法を受けてからは、JSはより精力的な出版活動を通じて、日米相互理解をなんとか進めようとしました。本書はそうした背景を受けて、1926年に再来日したグリフィスに依頼して刊行されたものと思われます。

タイトルページ。グリフィスは、福井藩校、大学南校で教鞭をとっただけでなく、著書『皇国(The Mikado's Empire. 1876)』によっても当時を代表する日本学者として著名であった。本書は再来日を果たした1926年頃に刊行されたものではないかと思われる。
本書が、ニューヨーク・ジャパン・ソサエティのハリス基金委員会によって出版されていることを知らせる前書き。グリフィスの日本研究に対する功績に賛辞を送りつつも、1924年の排日移民法によって日米関係の緊張感が高まっていることを受けて、慎重な言い回しになっている印象を受ける。
本文冒頭箇所。