書籍目録

『瞑想の道程』

モンテルデ / タブラーダ序文

『瞑想の道程』

(1923年) メキシコ刊

Monterde, Francisco / Tablada, José Juan (Preface)

ITINERARIO CONTEMPLATIVO.

Mexico, IMPRENTA FRANCO MEXICANA / EDITORIAL "CVLTVRA", (1923). <AB201729>

Sold

Oblong,10.2 cm x 15.2 cm, pp.112 + Table of Contents, Original paper wrappers
ページがまだ封切りされていない新刊同様の状態。

Information

タブラーダに影響を受けたメキシコ詩人の俳句集、重要なタブラーダの序文詩を収録

 本書は、メキシコ、並びにスペイン語圏に日本の和歌と俳句(俳諧)を初めて本格的に紹介したタブラーダ(José Juan Tablada, 1871 - 1945)の影響を受けて俳句形式の詩作に取り組んだメキシコの詩人モンテルデ(Francisco Monterde García-Icazbalceta, 1894 - 1985)の俳句集です。
 
 タブラーダについては、2008年に太田靖子氏によって発表された、画期的な研究書『俳句とジャポニズム メキシコ詩人タブラーダの場合』によって、日本における再評価の端緒が開かれましたが、この本の中でタブラーダに影響を受けた詩人の一人としてあげられているのが、モンテルデです。本書はモンテルデによる俳句形式の作品を収録するとともに、タブラーダによる書き下ろしの俳句形式の詩による序文「よき俳人への賛辞("Elogio del buen haijin")」を収めています。太田氏によると、これは単なるモンテルデに対する賛辞としてだけでなく、タブラーダ自身の俳句観が表れた重要な作品で、その一節を次の様に翻訳して紹介されています。

 「俳人とは俳諧の詩人なり。 / 俳人は眼前の前景を分離し / 北斎の絶妙な一筆を / 広重の明るい色合いを見分ける。」

 この序文詩は18連からなるもので、太田氏は「タブラーダは俳句の短さ、小ささに注目しているのである。小さいけれどもそれは大きく深遠であることを彼は知っていた。しかし、それにしては、18連もあるこの詩は長すぎる。この長い詩の代わりに、タブラーダの俳句を2、3句、冒頭に掲げておけば、洒落ていたであろう」と評しています。

 本書は、ほとんどのページが封切りがされていない、いわゆる"Unopend"の状態、つまり、読まれた形跡のない新品同様のもので、当時の厚紙装丁を保っていることとあわせて、大変状態の良いものです。