書籍目録

「1869年9月20日から23日にかけて、また30日に日本南岸へ到来した台風について」

シュック

「1869年9月20日から23日にかけて、また30日に日本南岸へ到来した台風について」

(雑誌『自然科学協会報』からの独立した抜き刷り)著者直筆献呈本 (1887年) (ハンブルグ刊)

Schück, A.

Taifune an der Südküste Japans 20.-23. und 30. September 1869. (Separat-Abdruck aus den Verhandlungen des Vereins für Naturw(issenschaft). Unterhaltung. Band VI.)

(Hamburg), (L. Eriederichsen), (1887). <AB2018126>

Sold

Dedication copy.

14.5 cm x 22.5 cm, pp.[1], 2-20, with a folded plate, Original paper wrappers.

Information

外国人による明治初期の貴重な台風研究、著者直筆献呈本

 本書は明治時代の外国人による日本研究の中でもユニークな、明治初めに到来した台風について論じたものです。著者についての詳細はわかっていませんが、気象学の研究者であり、かつ日本の事情に通じているドイツ人ということになりますから、気象学の御雇外国人として1868年に招聘されたクニッピング(Erwin Knippping, 1844 - 1922)に近い人物であったのではないかと推察されます。

 この小論は、ハンブルクで刊行されていた雑誌『自然科学協会報(Verhandlungenerhandlungen des Vereins für Naturwissenschaft.)』において1887年に発表されたものを抜き刷りの形で独立して刊行したもので、著者による直筆の献辞が記されています。対象としているのは、1869年の9月下旬に日本南岸を襲った台風で、この台風の進路、勢力などを気象学上の詳細なデータとともに紹介、分析を行っています。巻末には進路と基本データを示した折り込み図も収録しています。この論文が掲載された雑誌自体が日本でほとんど所蔵されていないことから、この論文についてこれまで知られることはほとんどなかったと思われますが、気象学、台風という分野においてこのような本格的な論文が出されていたということや、著者とクニッピングとの関係なども含めて、本書を読みと置くことで多くの研究が生み出せるものと思われます。

雑誌掲載論文を独立して抜き刷りの形で印刷したもので、右上に著者による直筆献辞が確認できる。
本文冒頭部分。
巻末には折り込み図版が収録されている。