書籍目録

『日本3週間の旅』

鉄道省国際観光局 /(峰暁雲(庫治))

『日本3週間の旅』

刊行年不明 東京刊

Board of Tourist Industry, Japanese Government Railways / Mine, Gyoun.

THREE WEEKS' TRIP IN JAPAN.

Tokyo, Toppan Printing Co, not dated. <AB201896>

Sold

12.7 cm x 18.7 cm, pp.1, 1-102, Plate leaves: [10], Folding map: [1], Original pictorial card wrappers.

Information

「宣伝印刷物の予算が逐年増して行くにつれて色々の特種の案内記類を刊行することが出来た。例えば日本の古美術を紹介宣伝するもの、ホテルや交通施設のことを書いたもの、年中行事、神社参拝の手引、土産品を夫々紹介するものなどである。中でも「日本の魅力」は英文で書かれた読みもの風のものであり、「青少年向日本案内」は主として米国、カナダのハイスクールの生徒が地理の勉強の参考になるようにとの趣旨から編纂したもので非常に好評を博した。又「夏の日本」、「冬の日本」はいづれも東洋に在留する欧米人を避暑、避寒に招くのを主な目的として編纂したものである。宣伝に映画を利用したことは後で述べるが、映画「3週間の旅」と併行して用いるために英文で同じ題名の小冊子も出している。」

鐵道省國際観光局編『観光事業十年の回顧』国際観光局、1940年刊、105頁より)

 本書は、上記引用文中の最後にある「映画「3週間の旅」と併行して用いるため」に刊行された「英文で同じ題名の小冊子」と思われるものです。内容としては、今度の夏の休暇の予定を話し合うHerbieとGertrudeの二人の会話編で構成されていて、Gertrudeのすすめにより日本各地を旅して周るというものです。日本郵船自慢の大型客船「秩父丸」に乗って横浜に入り、そこからビューロー職員の手助けを経て、ガイドの「佐藤さん」と共に東京、日光、鎌倉、箱根などの関東各地の名所を訪ね、そこから名古屋、京都、奈良、大阪、神戸と関西方面へと至り、瀬戸内海を通って九州へと入り、もう一度横浜へと戻り帰国するまでの行程をたどっています。ガイドブックというよりも、二人の旅行とガイドの佐藤さんの会話編で構成されていることからも、読み物として楽しめるようになっていて、日本への旅行がいかに楽しく、また多くの人が思っている以上に簡単であることをアピールする内容となっています。

 表紙は日光から長崎までをデフォルメして描いた鳥瞰図となっていて、この絵を手がけたのは、鳥瞰図を用いた地図絵師として活躍していた峰暁雲で、彼による落款を裏表紙に見ることをができます。

見返し部分。
タイトルページがなく、目次から始まる不思議な作り。
本文冒頭部分。HerbieとGertrudeの二人が次の夏の休暇の予定を話し合う場面からスタートする。
本文中には随所に写真も掲載されている。上掲は、日本到着後の横浜でビューローの職員(J.T.B.Rep.)とのやり取りをする場面。
Sとあるのが、ガイドの佐藤さんである。
巻末には折り込みの地図を収録。
表紙は一面に広げることで一枚の絵となる作り。画家は、鳥瞰図を用いた地図絵師として活躍した峰暁雲(庫治)によるもの。