書籍目録

『神戸土産』(1920年 第8回日曜学校世界大会用記念アルバム?)

兵庫県 / 神戸市 / 日曜学校協会

『神戸土産』(1920年 第8回日曜学校世界大会用記念アルバム?)

1920年? 出版地不明

HYOGO-KEN / KOBE CITY / S(unday).S(chool). ASSOCIATION.

SOUVENIR OF KOBE.

1920?. <AB201838>

¥108,000

Oblong (28.5 cm x 36.7 cm), not paged, 5 text leaves printed on verso, 5 photo plate leaves printed on recto with tissue guards, Original paper wrappers.

Information

学校、教会施設を中心に1920年頃の神戸を紹介した記念アルバム

 本書は、1920年頃と思われる神戸各地にあった学校や教会、名所を、テキストページ5枚、写真ページ5枚で構成した横長のアルバムです。『神戸土産(SOUVENIR OF KOBE)』という題がつけられていることから、何らかの記念アルバムとして特別に作成されたものと思われます。編者として、兵庫県、神戸市に加えて、日曜学校教会(S.S. ASSOCIATION)とあることに鑑みると、おそらく1920年に東京で開催された日曜学校世界大会のために作成されたものではないかと推察されます。日曜学校とは、教育を受けることが困難な児童のために毎週日曜日に教会で開かれる学校のことで、18世紀終わりにイギリスで始められた超会派のキリスト教運動を背景に設立が相次ぎました。日本では1907年に日曜学校教会が設立されており、本書によりますと、当時神戸だけでも51の日曜学校があったとされています。日曜学校運動は19世紀末から世界的な展開を見せるようになり、1889年に最初の世界大会がロンドンで開催され、日本でも第8回大会が1920年に東京で開催されていることから、本書は、おそらくこの大会のために特別に作成されたものではないかと思われます。

 最初のテキストページでは、神戸の概要が7つの項目に分けて簡潔に紹介されています。テキストを要約しますと次のように紹介されています。

①60年前には寒村に過ぎなかったが、現在では世界で最も大きな都市の一つで日本第3の人口を誇る都市であること。
②大阪湾に位置し、山と海に挟まれた美しい都市であること。
③世界で最も大きな港湾都市であり、アメリカにおいても神戸を上回る港湾都市はニューヨークの他にないこと。
④鉄鋼、ゴムなどの巨大な産業都市であり、特にマッチ産業は世界を牽引する都市であること。
⑤西日本で最もキリスト教の活動が活発な都市であること。
⑥博愛主義と慈善運動の中心都市として、盲学校、孤児院などクリスチャンによって運営されている各種慈善施設が数多くある都市であること。
⑦教育機関が充実しており、公立学校があまねく設置されているだけでなく、キリスト教に基づく教育機関で学ぶ学生が数千人を数える都市であること。

 こうした紹介とともに、当時の神戸、兵庫の要人と主要施設が最初の写真ページで紹介されています。熱心なクリスチャンでもあった兵庫県知事の有吉忠一(在任期間1919年4月18日〜1922年6月11日)や神戸商工会議所会頭の田村新吉(在任期間1917年〜1921年)の名前を確認できることから、両者の在任期間から計算しても、このアルバムが1919年から1921年の間に作成されたことが推察できます。また、旧神戸市役所や神戸港、兵庫県会館、神戸地方裁判所の写真も掲載されています。

 2番目のテキストページでは、神戸の教育施設が紹介されており、高等教育機関として、神戸商業学校(現神戸大学)、関西学院、神戸女学院を、中等教育機関として、3つの商業学校、1つの技術学校、6つの商業女子学校があること、他初等教育機関や幼児園、各種クリスチャン学校を紹介しています。写真ページには、第一神戸女子高等学校(現神戸高校)、神戸商業学校、第一中学校(現夢野台高校)、第一商業学校(現神戸商業高校)、関西学院、神戸女子神学校(のちの聖和大学)、神戸神学校などが掲載されています。

 3番目のテキストページでは、神戸の教会施設が紹介されており、神戸には37の教会があり、うち17が自身の建物を有すること、日本組合基督教会が最大の規模であることなどを紹介しています。写真ページには、バプテスト、メソジスト、独立派、組合派といった各宗派の教会施設が掲載されています。また、4番目のテキストページでは、各会派によって運営されている日曜学校は51を数え、それぞれの会派が運営する学校の生徒数を紹介し、写真ページでは関連する教会を掲載しています。

 最後の5番目のテキストページでは、その他の様々なクリスチャン関連施設を紹介しており、神戸YMCAや聾唖学校、賀川豊彦夫妻がその活動の中心地とした新川地区のことなどが記されています。また、神戸の名所として、布引の滝、諏訪山公園、生田神社、湊川神社、新開地、川崎埠頭を紹介しており、これらの写真が写真ページに掲載されています。

 本書は、刊行年や出版社についての情報が明記されておらず、極少部数のみが発行されたものと思われるため、国内の研究機関での所蔵がないだけでなく、これまでその存在自体が知られてこなかった資料ではないかと思われます。1920年頃の神戸の様子や、神戸を中心としたキリスト教活動の様子をテキストと写真の両方で知ることができる貴重な資料です。

左側がテキストページ、右側が関連する写真ページ(保護紙つき)で構成されている。
最初のテキストページでは、神戸の7つの特徴と当時の要人を紹介する。
最初の写真ページ。
2番目のテキストページでは、神戸の主要な教育機関、各種学校が紹介されている。
2番目の写真ページ。
3番目のテキストページでは、神戸の教会施設が紹介されている。
3番目の写真ページ。
4番目のテキストページでは、神戸の日曜学校の概要と関連する教会を紹介している。
4番目の写真ページ。
最後のテキストページでは、YMCAなどその他キリスト教関係施設と神戸の名所が紹介されている。
最後の写真ページ。
裏面。厚紙に印刷された和綴じ造りのアルバム。