書籍目録

『日本語初歩:第1部、話し言葉、文法、対話演習』

ドートルメール

『日本語初歩:第1部、話し言葉、文法、対話演習』

1916年 パリ刊

Dautremer, Joseph.

Le Premier Livre de Japonais. PREMIÈRE PRTIE: LANGUE PARLÉE GRAMMAIRE - EXERCICES DIALOGUES.

Paris, Garnier Frèes, 1916. <AB2023115>

Sold

8vo (11.0 cm x 17.5 cm), Half Title., Title., pp.[1], 2-155, Original card boards.
「財団法人語学教育研究所」の旧蔵印の押印やラベルあり。[NCID: BA45870949]

Information

長谷川武次郎のちりめん本「日本昔噺」の仏訳者として知られる著者による日本語教科書

ただいま解題準備中です。今しばらくお待ちくださいませ。

「ジョゼフ・ドートルメールは大使館の書記官、翻訳官として1884年に来日している。1886年に結婚のため一旦フランスに帰国し、1887年に妻をともなって再来日。1890年には香港の大使館に任ぜられて中国に赴く。しかし1894年にはまた日本に戻っている。これらの動向を見ると、1886年にフランス語版「日本昔噺」が出なかったことの理由も、No.11が出るまでに日にちがかかったことの理由も納得できる。(後略)
 ドートルメールは来日と同時に日本アジア協会に入会しており、熱心に日本の文化を吸収したようだ。同志に日本におけるワイン産業について発表しているが、これが機縁でワインを輸入していた長谷川商店と関係を持ったと思われる。武次郎にとっても願ってもない「日本昔噺」の仏訳者を得たわけである。
 帰国後はおそらくジュール・アダンに後を託したのだろう。ドートルメールは、帰国後も日本への関心を持ち続けたようで、1910年にフランス語と英語で The Japanese Empire and Economic Condition という本を出版している。
 たまたま古書店で、彼がパリのガルニエ書店(Garnier Fféres)から1919年煮出した『日仏辞書(Dictionnaire Japonais-Français des Caractères chinois)』を見つけた時は旧知に出会ったように嬉しかった。この辞書で見ると、帰国後パリ東洋語学校の教授になりフランスの青年に日本語を教えていたことが分かる。(後略)」
(石澤小枝子『ちりめん本のすべて:明治の欧文挿絵本』三弥井書店、100, 101ページより)