書籍目録

『(オークション)書籍目録:128枚のファクシミリ図付属』/『同目録落札価格一覧』

ビンデル

『(オークション)書籍目録:128枚のファクシミリ図付属』/『同目録落札価格一覧』

(合冊) 1913年 マドリッド刊

Vindel, Pedro.

CATÁLOGO DE LIBROS ESCOGIDOS…(Va ilustrado con comentarios y 128 facsímiles, varios de éstos tirados aparte y en color.) [bound with], LISTA DE PRECIOS Y NOMBRES DE COMPRADORES.

Madrid, P. Vindel, MCMXIII(1913). <AB20211716>

Sold

2 works bound in 1 vol.

15.5 cm x 22.3cm, Original front cover, pp.[((Title.)-III], IV, pp.[1], 2-154. 515[i.e.155], 156-516, [517, 518], original back cover, (some folded) Plates:[14] , [bound with], original front cover(for price list), pp. [519(Title.)-521], 523-557, original back cover, Contemporary green leather on green cloth.

Information

キリシタン版『どちりな・きりしたん』含む日本関係文献を多数収録した、スペインの名門古書店のオークションカタログ、当時の落札価格一覧も付属

「この市(マドリッドのこと;引用者注)のCalle Relatores 街の4に Vindel(ビンデル)という古本屋がある。かなりの珍本を蔵している。殊にその東洋に関するものは1910年及び1911年に出版した2回の書籍目録(Bibliotheca oriental / comprende 2747 obras / relativas á / Filipinas, Japón, China……Tome I, II.) に網羅してある。表紙の写真なども刷り込み、好個のカタログである。予はこの地の図書館で初めてこの書目を見、ある日早速この家を尋ねた。二階住居で、一見しもたやの如くである。午後の2、3時間だけ店を開ける。
 主人はすでに死し(木下が同店を訪れたのは1924年6月のこと;引用者注)、その娘が店を経営している。あくまで肥った年増で、ひどく声が嗄れていた。その奥の部屋の四方の壁には、書架にぎっしりと古い本が積み並べられてあった。
 予は無論カタログを買ったに過ぎぬ。それ以上のことは金の有り余る人のすることである。たとえば Diego Aduarte の HISTORIA DELA PRO / VINDIA DEL SANCTO ROSA-/ RIO DE LA ORDEN DE PREDICADORES EN PHI-/ LIPPINAS, IAPON, Y CHINA……1640. は六千ペタスの価である。(尤も新しいカタログでは四千となっている。四千としても約百二十シリング以上である。1904年ライプチヒでの相場は六百五十マルクであった。)諸式一般は無論、古本もスペインは非常に高い。一般に古本はフランスが割合にやすい。レオン・パジエスの豊富な文庫が市に出た時、日本の図書館は之を買うべきであった。
 東京の丸善と、バロン・オオトリという名をこの店の女主人は知っていた。」

「この書(キリシタン版『どちりな・きりしたん』のこと;引用者注)は1919年にリセウの書庫から失われた。それが1912年にはスペインマドリィの古本屋ビンデルの店に現われ、未だ嘗て記載せられたることなき唯一無二の珍本として五千五百ペセタスで北米人に売られたということである。」

(木下杢太郎『えすぱにや・ぽるつがる記』岩波書店、1929年、, 56-57頁、ならびに133頁(『どちりな・きりしたん』解説記事)より)