書籍目録

『瀬戸内海』

鉄道省 / (国際観光局) / (ジャパン・ツーリスト・ビューロー)

『瀬戸内海』

1932年 [東京刊]

Japanese Government Railways / (Board of Tourist Industry) / (Japan Tourist Bureau)

THE INLAND SEA.

[Tokyo], 1932. <AB20211691>

Sold

12.8 cm x 18.2 cm, Title., pp.1-30, 1 folded map, Original pictorial paper wrappers.

Information

鉄道省による瀬戸内海を主題とした珍しい英文ガイドブック

 この美しい表紙に彩られた小冊子は、瀬戸内海を主題とした鉄道省による英文ガイドブックで、1932年に刊行されています。鉄道省は、国際観光局を主体として1930年代に夥しい数の各種英文ガイドブックを発行していましたので、本書もそうした出版物の一つに数えられるものと思われます。印象的な表紙を手がけているのは杉浦非水で、瀬戸内を上空からデフォルメした鳥瞰図的な視点で瀬戸内を特徴付ける名所や魚たちが愛らしく描かれています。本文では、瀬戸内海が外国人から「日本の地中海」と称賛されていることの紹介から始まって、瀬戸内海のごく簡単な概説、見どころを解説しています。テキストで紹介されている各地の様子は、多くの写真とともに解説されていて、読者の旅情を誘うガイドブックらしい作りとなっていることが印象的です。また、瀬戸内各地の観光名所の紹介に続いては、瀬戸内海を旅するための交通手段やルートについての概説があり、鉄道、汽船、そして飛行機による上空からの観光までもが可能であることが紹介されています。巻末には、国際観光局と、ジャパン・ツーリスト・ビューローの紹介と、瀬戸内海の折込図が収録されていて、この地図中では汽船の航路と寄港地が示されており、旅行者が地理感覚が掴みやすいように工夫されています。地図の注意書きには、赤く波線で囲まれた地域は「戦略地域(Strategic Zones)」、すなわち軍事関連施設がある地域のため、写真撮影等は固く禁止されている旨が記されています。