書籍目録

『古代人たちの神々の姿について』

カルターリ / ピニョリア

『古代人たちの神々の姿について』

(第3版) 1647年 ヴェネツィア刊

Cartari, Vincenzo / Pignoria Lorenzo

IMAGINI DELLI DEI DE GL'ANTICHI DI VINCENZO CARTARI REGGIANO.…DA LORENZO PIGNORIA PADOANO. Aggionteui le Annotationi del medesimo sopra tutta l'opera, & un Discorso intorno le Deità dell'Indie Orientali…Con le Allegorie sopra le imagini di CESARE MALFATTI

Venetia, Press oil Tomasini, MDCXLVII(1647). <AB201744>

Sold

(Third edition)

8vo, Title, 11 leaves, pp. 400, 249 wood cut plates, Bound in modern marbled card boards.

Information

ピニョリア没後に出された「ピニョリア第三版」

後期ルネサンス期に活躍したイタリアの神話学者カルターリ(Vincenzo Cartari, 1531 - 1569?)の著作に、ピニョリア(Lorenzo Pignoria, 1571 - 1631)によって新たに入れ替えられた木版画、並びに彼による独自の注釈と、そして、「インドの神々」を新たに加えた、いわゆる「ピニョリア版」は、1615年にその初版が出されました。日本と関連の深い「インドの神々」の部は、この版で初めて登場しますが、この時点ではまだ「安土城屏風」図は収録されていません。
 
「安土城屏風」図は、1624年に初めて登場しますが、版元とピニョリアの間に何らかのトラブルがあったのか、1624年版はごく少部数しか作成されず、現存するものはほとんどありません。この1624年版とほぼ同じ内容で改めて刊行されたものが、いわゆる「ピニョリア第二版」と呼ばれる1626年版で、事実上、この1626年版によってピニョリア版は完成したとされています。
 
 ピニョリアの没(1631年)後に、1626年版と全く同じと思われる木版画を用いて再販されたのが、今回ご案内する1647年版で「ピニョリア第三版」とされるものです。テキスト活字との版組やレイアウトは、1626年版とはやや異なりますが、木版画は同じ版木から刷られたようで、1626年版に見られる特徴とほぼ合致します。また、「アジアの神々について」の部については、テキストの配置も含めて、1626年版とほぼ同じ構成をとっています。
 
 カルターリの著作自体は、ピニョリア版出現後も様々な版や翻訳が刊行され続けていますが、ピニョリア版は他の諸版がより精巧な銅版画を採用しているのに対して、木版画を採用していたこともあってか、次第に人気を失っていったようです。その結果、ピニョリアが独自に加えた「アジアの神々について」の部も忘れ去られていくことになりました。ピニョリア版が最後に確認できるのは、この1647年版の後に刊行された1674年版です。