書籍目録

『新たに発見された日本諸島からの権威ある報告、ならびに近年ローマを訪れた日本使節の記録(日本諸島実記)』

キサトゥス / (天正遣欧使節)

『新たに発見された日本諸島からの権威ある報告、ならびに近年ローマを訪れた日本使節の記録(日本諸島実記)』

天理図書館所蔵本に基づく複製版(限定200部のうち175番)ジェイソン・ハバード氏旧蔵本 1972(1586)年 東京(フライブルク)刊

Cysat, Renward.

Warhafftiger Bericht, von den newerfunden Japponischen Inseln und Königreichen, auch von andren zuvor vnbekandten Indianischen Landen….Neben dem allen erfindete sich in diser Edition gründliche anzeygung von der Japponischen Legation neuwlich gehn Rom ank

Tokyo (Freyburg (Freiburg)), Tenri Central Library (Abraham Gemperlin), 1972 (1586). <AB2022164>

Donated

(Classica Japonica: Facsimile Series In the Tenri Central Library) No. 175 of 200 limited copies.

9.3 cm x 14.8 cm, Original imitation leather with a dust jacket, stored in original slip case.
[NCID: BA21140690]

Information

天正遣欧使節に触発されて刊行された浩瀚な「日本誌」、九州、西日本を中心とした日本各地の詳細とそれに基づいた単独の日本地図を収録

ただいま解題準備中です。今しばらくお待ちくださいませ。

「『日本諸島実記』は、スイスの地方長官であったキサトゥスが、イエズス会士の書簡や報告から、日本での布教や風俗をまとめて、1586年に刊行したものである。ヨーロッパで印刷された最古の日本専図が付載されている。
 四国がなく、本州と九州が一体化しているが、これは布教の中心が近畿と九州であったためである。地図の右下に描かれた湖は、そばに織田信長の城 Anzuchi(安土)があることから琵琶湖とされてきたが、キリスト教の布教を公認した三好長慶の城 Imoris(飯盛)や Sanga(三箇)、Ocaiama(岡山)、Sacaium(堺)が見えることから、江戸時代中期まで江戸に存在していた深野池の可能性が高い。または二つの湖が一体化したのであろう。」
(天野忠幸 「193 キサトゥス『日本諸島実記』」解説記事、天理大学附属天理参考館・天理図書館(編)『大航海時代へ:マルコ・ポーロが開いた世界』2020年、154ページより)

「この非常に重要で影響を及ぼした日本地図は、1586年スイスのフレイブルクで出版されたキサトゥスの『新発見された日本の島およびその五国についての真実の報告』に出ている。 キサトゥスはルッツェルン市の行政長官で、1585年に日本について彼が収集できる全ての資料の編集を始めた。キサトゥスはルッツェルンのイエズス会の神学校長M・ロイベンシュタイン神父の親しい友人であった。ロイベンシュタインは宣教師として日本へ行くことを望んでいたが、彼を通じてキサトゥスは最新のイエズス会の書簡の写しを入手していた。この本はイエズス会の情報源による詳細な概観で、1584年から86年にわたる日本の遣欧使節団のスペインからローマに至る話を含んでおり、これがキサトゥスの資料編集の背後にある主要な動機の一つであった。地図は日本遣欧使節団の成果として1585-6年頃のイタリアおよびスペインで作製された日本の行基式地図から出たものであろう。 地図は、日本の西にイエズス会の神学校があることは分かるが、日本を解明することは 困難である。九州と本州は合併され、大坂が本州の東に表示されている。 非常に奇異な、稀少で重要な地図で、この本では複製からの印刷である。」
(放送大学附属図書館『デジタル貴重書室:西洋古版日本地図』No.11. https://lib.ouj.ac.jp/gallery/virtual/kochizu/index_mono.html より。)