書籍目録

『新大陸地誌総記』

ロペス・デ・ベラスコ / サラゴサ(編)

『新大陸地誌総記』

編者直筆献辞本 (1571年〜1574年執筆)1894年 マドリッド刊

López de Velasco, Juan.

GEOGRAFÍA Y DESCRIPCIÓN UNIVERSAL DE LAS INDIAS RECOPILADA POR EL COSMÓGRAFO-CRONISTA JUAN LÓPEZ DE VELASCO DESDE ELAÑO DE 1571 AL DE 1574, PUBLICADA POR PRIMERA VEZ EN EL BOLETÍN DE LA SOCIEDAD GEOGRÁFICA DE MADRIDO,…

Madrid, Establecimiento Tipográfico de Fortanet, 1894. <AB202158>

Sold

8vo (15.5 cm x 23.5 cm), 1 leaf(blank), pp.[I(Half Title.)-III(Title.)-V], VI-XIII, 1 leaf, pp.[1], 2-808, 1 folded map, 2 leaves(blank), Modern green half leather on cloth boards.

Information

16世紀末にスペインの為政者にもたらされた貴重な日本関係記事を含む東西インドに関する最高機密情報

「フワン・ロペス・デ・ベラスコ Juan López de Velasco (?〜1598)はスペインの新大陸枢密院 Consejo de las Indias 内に、1571年設けられた「世界誌・年代記編纂掛」Consmógrafo-Cronista の初代に任命され、その3年後に『新大陸地誌総記』Geografía y descripción de las Indias を編纂した人である。本書は新大陸に関する確実な知識をもとに、新大陸の全体像を描き出した史上初の記述であり、プトレマイオス以来の古典的な地理概念を退けた画期的な著作として高く評価されている。本書は新大陸いわゆる西インド Las Indias occidentales をあつかったものであるが、この中には日本関係(琉球も含む)のセクション(以下「日本記事」とする)が設けられている。(後略)」

「『新大陸地誌総記』の構成は次のとおりである。
①総論(新大陸の自然、社会環境、民族など)
②新大陸の水路誌
③各論(新大陸北部、南部、西方諸島、フィリピン諸島、チナ、日本、ニューギニヤ、ソロモン諸島の地誌)
 本書は新大陸の最新情報、当時の最大機密であった水路誌(航路)が含まれていた。それ故、フェリーぺ2世は本書が失われたり、外国人の手に渡らぬよう、錠をかけて厳重に保管せよ、と新大陸枢密院に指令している。本書はあくまで新大陸枢密院の内部資料として、1894年まで公刊されなかった。」

「ロペス・デ_ベラスコが紹介した日本は、九州の薩摩半島の先端の山川港及びその近郊の自然風物と人々の生活であった。彼の「日本記事」には、上述したように、編集のさいに加えられたいくつかの欠陥が認められる。しかし、1570年頃のスペイン人の日本認識の程度を考えるならば、この記事が執筆されたこと自体画期的なことといえよう。というのは、はからずも彼が「日本記事」の冒頭で、マルコ・ポーロのジパングに言及しているように、1570年頃になっても日本はスペイン人にとって、はるかかなたの未知の国であったからである。日本に一番近い、スペインの植民地であるフィリピンが征服されたのは1565年のことであり、日本との直接交渉もまだ開始されていなかった。このような時期に、来日経験者アルヴァレスの日本情報をもとに、ロペス・デ・ベラスコが初めて官撰の地誌に、日本の実像を紹介したことは、のちのスペイン人(その数は限られていたろうが)の日本認識に大きな貢献をしたものといえよう。」

(岸野久『西欧人の日本発見:ザビエル来日前 日本情報の研究』吉川弘文館、1989年、77, 79, 84-84頁より)